TOPページESDの取り組み < わくわく親子ふれあい理科教室

 

【わくわく親子ふれあい理科教室】
1.概略
 コミュニケーションを行う力,つながりを尊重する態度を目指した取り組み。

【長期の教育(活動)目標】
  • 地域の誰もが気軽に声を掛け合えるような環境や,教育問題に対する建設的な意見 交換の場をつくること。
  • 地域社会にあたたかい人間関係をつくり,学校教育・家庭教育・社会教育の機能回 復,潜在的な地域教育力の活性化を目指すこと。
  • 地域に貢献する若い人材を継続的に育成し,それらの人が社会人になった時に,今 度は後輩の人材育成に努めるリーダーに育てる。そして,老若男女が力を合わせて, 地域社会のネットワークづくりを推進するコミュニティを創ること。
【単年度の教育(活動)目標】
  • ボランティア活動への参加を希望する藤田中学校の生徒が,受講生の親子に対して 野外観察会や天体観察会,自然の素材を活かした工作などの指導ができるよう,指導 者としての技術や態度などを身に付けさせること。
  • 受講生の親子が,講師として活躍するボランティア中学生の姿に共感しながら,地 域のすばらしさや人々のつながりの大切さを再確認すること。
  • 中学生時代にボランティア講師を務めた高校生が講座に参加し,受講生に対する指 導だけでなく,後輩の中学生にアドバイスをするなどして,更なる人材育成を行う環 境づくりをすること。
  • 岡山市立北公民館で行っている理科教室では,岡山大学の学生がボランティア講師 を努め,野外観察会以外にも理科実験講座を担当している。これらの学生が藤田公民 館の理科教室に参加して中学生ボランティアや高校生にアドバイスすることのできる 環境づくりをすること。
  • ボランティア中学生が公民館の理科教室で身に付けた指導力を活かし,学区内の小 学校へ出向いて野外観察の出前授業(*)を行うこと。
2.活動の流れと具体的な実践内容
日程 内  容
5/6(月)10:00-12:00 ESD春の野外観察会(予備観察)
5/11(土)9:30-12:30 ESD春の野外観察会(本番)
8/4(日)10:00-12:00 ESD夏の野外観察会(予備観察)
8/10(土) 9:30-12:30 ESD夏の野外観察会(本番)
8/17(土)19:00-21:00 ESD天体観察会
11/2(土)10:00-12:00 ESD秋の野外観察会(予備観察)
11/9(土) 9:30-12:30 ESD秋の野外観察会(本番)
11/28(木)14:00-15:00 ESD藤田の野鳥観察会(第一藤田小学校)(*)
12/14(土) 9:30-12:30 ESD自然の素材を活かした工作
2/1(土)10:00-12:00 ESD冬の野外観察会(予備観察)
2/8(土) 9:30-12:30 ESD冬の野外観察会(本番)

春の野外観察会

夏の野外観察会

天体観察会で稲田教授の講義

秋の野外観察会

自然の素材を活かした工作

中学生による観察前の生き物解説
 野外観察会・天体観察会の実践場所は主に岡山市立藤田公民館の大会議室と公民館周辺で行い、自然の素材を活かした工作の実践は、公民館の大会議室で実施した。また11/28は、ボランティア中学生が本理科教室で身に付けた指導力を活かし、岡山市立第一藤田小学校の理科室と校舎周辺で出前授業を行った。
 予備観察会への参加者は、藤田中学校有志と卒業生有志ら。観察会本番には、藤田中学校有志と卒業生有志のほか、岡山大学の学生・教授,受講生の親子15家族も参加した。また出前授業の際には、藤田中学校1年生有志と,第一藤田小学校6年生の希望者が参加した。
 ESDの視点を取り入れたところとしては、環境や食料問題などを解決する人材育成の視点に立ち,藤田の広大な水田を将来も維持するため,特に「水辺で生活する動植物」にポイントをおいた。
3.参加者の感想など
【講師を務めた中学生、高校生の感想】
  • 自分で調べて教えるのがはじめは緊張したけれど,だんだん楽しくなってきた。こ の活動は,将来何年先でも役に立つと思う。今後も続けていきたい。(中学1年 男子)
  • みんな「楽しかった」「もう終わり?」って言ってくれてうれしかった。次も参加し て,みんなが楽しく勉強できるようにしたい。(中学1年 女子)
  • フィールドスコープのピントを一瞬で生き物に合わせるのは難しかったけれど,ピ ントがあったときはうれしく楽しかったです。今後も,ボランティアとして活動した いです。(中学1年 男子)
  • 初めての先生役でしたが,子どもたちと楽しく交流できました。雨のために見られ る野鳥の種類が少なかったですが,子どもたちがとても喜んでくれたことが一番良か ったです。(中学3年 女子)
  • 私は中学生の時から参加していて,高校生になって初めての参加でした。高校は勉 強とかで忙しく,外に出て虫や花を観察することがほとんどなかったので,今日はとても楽しく過ごせました。また,参加します。(高校1年 女子)
【受講生(小学生)の感想】
  • 今日は,カラスの顔のひょうじょうが見えてよかったです。(高学年 女子)
  • 思ったよりヘクソカズラの花がくさかったので,びっくりしました。(高学年 女子)
  • コセンダングサであそんでいっぱいくっついて,おもしろかったです。ヤナギタデのはっぱがからかったです。(中学年 男子)
  • カラスは黒いからだでハーハーしていて,あついのは人間だけではないことがよくわかりました。(高学年 女子)
  • すごく小さな土星の輪がはっきり見えて,うれしかったです!(中学年 女子)
  • 月のでこぼこの上に,ひげみたいなのがあるのがびっくりしました。(高学年 男子)
  • 大きいぼうえんきょうでみたら,月にいったみたいでした。(中学年 男子)
  • むずかしかったけど,かわいいものができて,きょうはいいいちにちでした。また きたら,いいものができたらいいな。(低学年 女子)
【受講生(保護者)の感想】
  • 今年で参加3年目になりますが,毎回新しい発見があり楽しいです。家族で出かける場所も自然観察の場所がずいぶん多くなり,親子で自然について話し合うよいきっかけになっています。(母親)
  • 1年間の講座の中でも,特に子どもたちは今日の工作を楽しみにしていました。今 年は,事前に材料集めから取り組めてよかったと思います。私は,みなさんの作品鑑 賞も楽しみで,今年もすばらしい力作を見せてもらえて感動しました。(母親)
  • 大人でも新しい発見があって楽しかったです。地域のことが,子どもと一緒に好きになれます。(父親)
  • 小学生の時に知っていた子が,立派に中学生ボランティアになっていて,うれしかったです。 (母親)
  • 回を重ねるごとに中学生のお兄さんお姉さんの説明がわかりやすく,ユーモアあふれる個性的な説明になっていくので,すばらしいなあと感心させられます。次回も楽しみにしています。(母親)
【第一藤田小学校で実施した「藤田の野鳥観察会」の感想(小学6年生)】
  • 中学生の人たちは,優しくていねいに教えてくれました。あまり鳥には興味はなかったけれど,野鳥観察会に参加して興味をもちました。もっと鳥のことを知って,いろんな人にも教えてあげたいと思いました。(男子)
  • 私も中学生になったら,お兄さんたちのようになってみたいと思いました。寒いことを忘れてしまうくらい鳥探しに熱中してしまいました。(女子)
  • 中学生の人がやさしくわかりやすく教えてくださったので,鳥のことがとてもよくわかりました。今回のようにして,みなさんと活動するのもいいと思いました。(女子)
4.成果と課題
 指導者としての技術や態度を中学生に身に付けさせること,受講生の親子が地域の自然を再認識したり人々のつながりの大切さを再確認することについては,本年度も成果がみられた。
 また,卒業生が高校の忙しい日程をやりくりして講座に出席し,先輩講師として中学生にアドバイスしたり援助したりする姿が見られ,人材育成の階段も一歩上ることができた。
 北公民館の理科教室に参加している岡山大学の学生は自動車を所有しておらず,遠方の藤田公民館へ来ることはかなり難しかった。それでも,夏の天体観察会に岡山大学大学院の稲田佳彦教授が大型天体望遠鏡といっしょに物理学専攻の学生を連れてきてくださり,アカデミックな雰囲気の講座になった。
 中学校区内の小学校へ出向いて行った出前授業は,3つある小学校のうち第一藤田小学校で実施した。野外観察会の講師として小学生の指導をした中学1年生は,昨年まで児童として通っていた小学校で先生役をすることにやや緊張していたが,公民館で実践してきた自信を胸に,立派にやり遂げた。他の2校は日程が調整できなかったため,本年度は実施しなかった。

平成26年4月に23年目を迎える「わくわく親子ふれあい理科教室」:
 四半世紀以前より,親が我が子の教育に過度の関心をもっていたり,反対に無関心であったりすることが,社会問題となっている。そこには,私的関心や私的利害に偏り,公のつながりをもちにくい社会意識が存在している。そのような意識が,周囲におかまいなしの自己中心的な子どもを育て,簡単にキレたり,無関心・無感動・無気力な人を増加させる原因になっているともいわれている。
 このような社会環境の下で,地域の誰もが気軽に声を掛け合えるような雰囲気づくりをしたり,教育問題に対する建設的な意見交換の場をつくることが求められている。「わくわく親子ふれあい理科教室」では,地域社会にあたたかい人間関係をつくり,学校教育・家庭教育・社会教育の機能回復,潜在的な地域教育力の活性化を目指している。学ぶことは「すばらしい,やりがいがある,幸せなこと」と,まず自分が感じられる体験をし,それを,家族や友人,身の回りの人々などに伝え広められるようにしたいと考えている。
 「わくわく親子ふれあい理科教室」は,地域の公民館を拠点にして活動している。そこは,自然公園や博物館・研究施設のように保存・整備された環境ではない。しかし,生活地域内で活動を行うことには,家庭内や近所の共通話題になりやすいという利点がある。一人ひとりが地域の自然の中で,また,そこに暮らす人々の一員として生活していることを意識した学習は,受験競争の手段という位置づけの「学び」を,生きることと有機的に結びついたかけがえのないものに変えると考えている。「わくわく親子ふれあい理科教室」では,学びの材料として理科を使っているが,理科以外の内容を利用しても,地域教育力を活性化させる同様の活動ができると思われる。
 地球規模の環境問題や食料問題などを解決する人材育成を目指すESDと,「わくわく親子ふれあい理科教室」の目的である『地域の誰もが気軽に声を掛け合えるような環境や,教育問題に対する建設的な意見交換の場をつくること。地域社会にあたたかい人間関係をつくり,学校教育・家庭教育・社会教育の機能回復,潜在的な地域教育力の活性化を目指すこと。』の共通点を意識しながら,これからも次世代を担う人材の育成に邁進していきたい。
TOPページESDの取り組み < わくわく親子ふれあい理科教室
本ページおよび関連ページに掲載の文書や画像等の無断転載を禁じます。
Copyright (c) 2007 Okayama Fujita Junior High School. All rights reserved.